“とんとんとんとんスネ夫くん”に驚愕した日

保育園/幼稚園(日本)

日本の幼稚園に通うようになった長男は、最初の1ヶ月で驚くほど日本語が上達しました。恐るべし子供の学習能力。

Martian
Martian

今日は幼稚園で何したの?

長男
長男

えっとねぇ、train, play。

と、まだまだ日本語と英語がごちゃ混ぜだったのですが、幼稚園で習ったお遊戯を家でたくさん披露してくれるようになりました。

長男
長男

はじまるよっ、はじまるよっ、4(four)と4(four)でたこさんだよ、ヒュ〜!

Martian
Martian

すごいね〜!ほかには?

長男<br>
長男

おいでおいでいでおいで、こあら、こあら!

Martian
Martian

上手、上手!

幼稚園で覚えてきたことをいろいろと教えてくれるので、成長が目に見えて親としては喜びいっぱい。

ある日、いつものように長男がノリノリでお遊戯を始めました。この日は「とんとんとんとんひげじいさん」の替え歌でした。

長男
長男

とんとんとんとん、アンパンマン。とんとんとんとん、カレーパンマン。とんとんとんとん、食パンマン。とんとんとんとん、ぼくジャイアン。とんとんとんとん、しじかちゃん(しずかちゃん)

Martian
Martian

ひげじいさんとかじゃないねんや!幼稚園のオリジナル?かわいい〜

と思いながら、満面の笑みで長男を見ていた次の瞬間。

長男
長男

とんとんとんとん、スメ夫くん(スネ夫くん)

と言って、手で目尻を釣り上げる仕草をしたのです。

夫Nobitaは固まって絶句。私は咄嗟に

Martian
Martian

No! You don’t wanna do that!

と言ってしまったのですが、長男は混乱している様子。そりゃあそうですよね、幼稚園で習った楽しいお遊戯をいきなりやるな、と言われれば混乱のは当然だと思います。

キツネの目、スネ夫の目、Slanted eyes

手で目尻を釣り上げる仕草は、 “slanted eyes”などと呼ばれ、国際的にはアジア人差別のジェスチャーとして認識されているため、ビッグタブーです。冗談でも許されるものではありません。気になる方は”slanted eyes” “slant-eyes”などでググってみてください。

過去にマイリーサイラスがふざけて撮った写真で大バッシングを受け謝罪することもありましたし、NFL選手、MLB選手、サッカー選手でもそのジェスチャーで謝罪をしている人がいます。最近ではセルビアのバレーボール選手がタイ相手の試合中にこのジェスチャーをして、$22,392の罰金と2試合の出場禁止の罰を受けました(参照記事)。

一方、日本で生まれて育った私は、「あーがり目、さーがり目、ぐるんと回ってきつねの目」などの遊びをやっていましたし、日本を出るまでは、このジェスチャーに対してなんの違和感も持っていませんでした。アメリカの大学に通うようになって、アメリカ人からこのジェスチャーが所謂“racist(人種差別)”なジェスチャーなんだと教わってとても驚きました。当時は「別にアジア人本人の私はこれをやられてもなんとも思わないと思う。もちろん、差別意識バリバリでバカにするためにやられたらムカつくけど。むしろ悪気がなくやってるとしたら、よくアジア人の特徴捉えてると思うけど」なんて言って、友人には逆にびっくりされたのを覚えています。ただ、その時から世の中で“差別的”と認識されているジェスチャーなのだと理解し、やってはいけないものなのだと意識するようになりました。

アメリカで育っているNobitaは、当たり前にNGなジェスチャーだと言います。そう育ってきたから、自分の息子が悪気なくやっているのを見て、驚きを隠せない様子でした。

子供にどう伝えるか

さてここからが問題。日本で育った私は、きつねの目、スネ夫の目、の手遊びがあることを否定できません。一方、今後国際的な環境で育っていくであろう息子に、差別色のあるジェスチャーで遊ばせるのもどうかと思い、やめさせたいというのが本音です。夫Nobitaは例え遊びでも絶対にありえない、やめさたいと言います。

しかし、「これはとってもよくないジェスチャーだから、やってはいけないよ」と子供に教えたところで、幼稚園では普通にやるわけですよ。先生や周りのお友達がやっていることを否定することになり、それはそれでどうなの?と。

取り急ぎ、その場凌ぎで「これは幼稚園ではやっていいけど、幼稚園意外ではやってはいけないよ」と伝え、長男は「Ok~!」と軽い返事をしていました。そうです、完全にその場しのぎでなんの解決にもなっていません。涙。後々Nobitaと、「私たちが長男に言ったことはダブルスタンダードで、話を余計にややこしくしているね」と反省会。よく話し合った結果、きちんと差別のジェスチャーであるということを伝え、全面禁止することにしました。

「幼稚園では楽しくやっているのは分かるけど、世界に行くと、このジェスチャーで嫌な気持ちになる人もいるの。例えばアメリカのおじいちゃん、おばあちゃんのお家に遊びに行ったときにこのジェスチャーをすると、みんなが悲しむの。アメリカのように、これが差別のジェスチャーになる国もあるんだよ。人を嫌な気持ちにさせちゃうジェスチャーなの。人が嫌な気持ちになることはやっちゃダメだよね。それは分かるよね?幼稚園でみんなで楽しくしているかもしれないけれど、長男君がやりたくなければやらなくていいからね」

と、長男には伝えました。おそらく彼は全てを理解できていません。なぜやっちゃいけないかもよく分かっていないと思います。そして、幼稚園で“とんとんとんとん〜”をして遊ぶときに、とても混乱すると思います。それでも、やっちゃダメ、を言い聞かせ続けようと思っています。

正解は何?

今回の判断は、親として正解だとは思いません。子供に無茶ぶりを強要してしまっているのではと悩みます。本当は幼稚園に「国際的には差別的なジェスチャーなのでやらない方がいいのでは、スネ夫のジェスチャーを変えるのはどうか」、と提案しにいくのが正しいことだと思っています。ただ、正規の入園ではなく空いた枠に転がり込ませてもらった身、1年の半分は日本、半分はアメリカでの生活をしていて幼稚園を休むことも多く、いつ引っ越すかも分からないポッと出の私が茶々入れにいくのもなぁ〜と億劫になり、未だに幼稚園には伝えられていません。あかんなぁ私。こうやって文字にするとますますあかんやん、と思ってきました。

長男が通っている幼稚園は、国際色豊かというわけでもありません。しかし、今の子供たちが育っていく世界は、きっと私たちのときよりもっともっと国際的になっていくはず。その中で、日本の伝統や文化を大切にしつつ、グローバルスタンダードも取り入れていく必要があるのではと思っています。

やっぱり伝えに行こうかなぁ。こういうとき、どうするのが正解でしょうか。

12/27追記。幼稚園に伝えてみた

12/27の追記です。

年末、アメリカに滞在しているにもかかわらず、幼稚園がzoomで保護者面談をしてくださいました。先生と私と夫Nobitaしかいない環境だったので、思い切って先生に伝えました。一生懸命やってくださる先生方に失礼にならないよう、海外かぶれに聞こえないよう、言い方には気をつけました。

「私は日本で生まれて育ち、上がり目、下り目、狐の目、などをして育ってきているので、ひとつの手遊びだと思っています。ただ、アメリカではアジア人差別になるジェスチャーなんです。息子の家庭環境が日米ごちゃ混ぜということもあり、アメリカ側の家族がびっくりしないように、きつねの目も、スネ夫の目も、やってはいけないと家で教えることにしました。もし幼稚園で、みんなで手遊びしているときに長男がスネ夫の目をやらなくても、家でやってはいけないと教えているという背景を知っていただければと思います。協調性がないように思われないか心配ではあるのですが」

すると先生からは、

「こちらの勉強不足ですみませんでした。職員会議でも議題にします。ご指摘ありがとうございました」

と神対応のお返事をいただき、とても恐縮しました。

ずっともやもやしていたから幼稚園の先生とお話できてよかった。これですっきりした気持ちで年を越せそうです。

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