長男、コロナ渦の検査入院3泊4日

点滴をする子供の手 PFAPA症候群

8月、長男は40°近い熱が丸6日続き、抗生物質(ワイドシリン細粒)が効かず、尿に血液とたんぱくの混入が見られ、かかりつけ医の先生からは「紹介状を書くのでこのまま大学病院で血液検査などを受けてください」と言われました。ちょうど1年前に急性扁桃炎で似たような流れで入院した経験があり、またか〜、一度家に帰って着替え取りにいって、入院中の付き添いは私が行くべきかな、でも次男の母乳はどうしようかな、と呑気に考えていたら

病院スタッフ
病院スタッフ

先方があと30分以内に来て欲しいって。ここからXX大学病院、タクシーか電車だとタクシーの方が早いよね?呼んじゃうね!

とスタッフの方から言われ、言われるがままタクシーに乗り大学病院へ。最初は呑気に考えていた私も、家に帰る余裕すらないぐらい、そんなに緊急なの?とだんだんと不安になってきて、どうか悪い病気ではありませんようにと祈りながら病院へ到着しました。

発熱外来受診

熱があったためまずは発熱外来での受診でした。テレビで見たことのある突貫工事のプレハブみたいなところで熱を測って問診です。もわっと暑い空気が充満していて、なんだかここで自分もコロナに感染してしまうのではないかとドキドキしたものです。エアコンもついてはいるんですが、完全に酷暑の外気温に負けてる感じ。こんな環境の中、自分の命を危険にさらして前線でがんばってくださっている医療スタッフのみなさまには頭が下がります。本当にありがとうございます。

ERへ

「小児科ではなくERでの受診です」と言われ、「え?ER?」と思わず聞き返してしまいました。後々よく考えたら、外来受診時間外だったからなんだと思いますが、そのときは悪い病気だったらどうしようと不安でいっぱいだったので、「ER?そんなにヤバイの?」と焦りました。そもそも重篤患者=ERってわけじゃないのにね。ドラマや映画のイメージでER=ヤバイ患者が運ばれてくるっていうイメージが自分の中にあったため、思考力が低下していた当時の私は内心プチパニックでした。お恥ずかしい。

案内されるがままERに入ると、看護師さんに熱や脈を測ってもらい、尿検査。その後5人の医師にぐるっと囲まれ問診。どの先生もとても優しく、とても細かくお話を聞いてくださりました。既往歴やここに来るまでの経緯、本人の様子や家族の既往歴など、一通りお話し、母子手帳、お薬手帳を提出。「今までに家族性地中海熱と言われたことは?」「家族で扁桃腺切除した人は?」「アメリカでコロナ感染者との濃厚接触は?」「差し支えのない範囲で、お父さんの人種は?」その他もろもろ、本当にたくさんの質問に答えました。いろんな可能性を考えてくれているのかなぁ、とても頼もしく感じました。

その後は入院経験者ならおなじみの、「親は出てってください」からの点滴用ルート確保です。子供の小さな腕に針をブッ刺すのは至難の技ですよね。”Mommyyyyyy Mommyyyyyyy NoooOOOOO!!!”と絶叫する息子の声だけが聞こえ数分後、「お母さんいらしてください」と再び中に通されました。そこには泣きじゃくって憔悴し、少しふてくされた顔の息子。点滴用のルートが通され、それを固定するために包帯ぐるぐる巻きのドラえもんみたいな手になった息子を見て胸がチクリ。必要な医療行為とは頭で理解しつつも、やっぱりかわいそう。大人の私だって痛いもん、注射も点滴も。その後技師の方がいらして腎臓の写真を撮って終わりました。

医師からの入院の勧め

「とりあえず高熱が6日も続いているのは息子さんの体力を奪うし脱水症状や栄養失調も心配なので、点滴で強めの抗生剤を入れて様子を見ましょう。そしてこれまでの経過と血液検査と尿検査の速報値を見る限り、この際入院して一気にいろんな検査をして病気の特定を試みた方がいいと思います。入院を勧めます」と医師からは説明がありました。ただ、コロナ対策のため入院の準備が整い次第息子は隔離室へ。PCR結果が出るまでは面会謝絶。陰性であれば小児病等に移るが、面会は1日1時間父親か母親の1人のみ。例えば夫婦で30分ずつ交代でというのはNG(そもそも基本入院患者の面会は謝絶しているのだけれど、小児科のみ特例で1時間だけ許可されているんだそう)。極め付けに入院は1週間を見込むと言われ、絶句。1年前の入院は、親が24時間付き添いだったため、勝手に今回もそうなると思ってました。なので息子を何日もぼっちにさせる覚悟ができていなくて。もうこの際多少かわいそうなことしてでもとことん調べてもらおう、と思う自分と、さすがに1週間ぼっちはメンタル面に悪影響があるんじゃないか?と不安になる自分とがいました。

とは言うものの、このまま家に帰ったところで原因不明の熱に不安を持ち続けるだけだし、病気の特定ができれば治療法や対処法も分かるはずだと言い聞かせ、入院することに。息子には何度も何度も「長男くんは強いってママもダダも知ってるからね。元気になるために、今日はどうしてもバイバイしなきゃいけないの。明日また来るからね。大丈夫だからね」と伝えました。その度に”Nooooo”と力ない声で言われるのが辛かったなぁ。入院の準備が整い、防護服を着たスタッフが息子のお迎えにきて私たちはバイバイ。”NOOOOOOOOO Mommyyyyyyy!!!” と渾身の力を振り絞って絶叫していましたが、問答無用で連れて行かれました。

ここから私は、うだうだ考えていたって病気が治るわけじゃない、今長男がいなくてできることをしよう、そうだこの際家の大掃除をしよう!とスパっと気持ちを切り替えました。なんなら今夜は長男がいたら食べられない激辛麻婆にするか?生姜たっぷりのスープにするか?とそれはもう見事に切り替えましたわな。ちょっと自分て冷酷なんちゃうか?と思うぐらい。夫は結構沈んでいましたが、「私たちが悩んだって何か変わるわけじゃないんだし、長男が帰ってきたらどうやって喜ばすか考えよう」と言うと、「そうだよね」と言いながら長男が欲しがっていたプラレールやトミカをポチりまくっていました。笑。

入院中の様子

入院した翌日、主治医の先生から「PCRは陰性でした。面会に来ていただいて大丈夫です」との連絡をいただき、即病院へ。病室へ入ったら”Mommy!”って抱きついてくるかと思っていたのに、長男は弱々しい笑顔を見せただけでボーッとしていました。相当辛かったんやなぁ、と心がエグられる思いでした。看護師からは「さっきまでは隔離室だったのでスタッフも出入りの制限があったので一人で寂しかったと思います。こちらの病棟に移ってからは先生や私たちと絵を書いたり電車で遊んだりしていますよ。英語も教えてくれるんですよ!」と絵を見せてくれました。言葉が遅いのと、日本語よりも英語の方が話せる単語が多いので、コミュニケーションが取れるか心配していたのですが、なんとかなったみたいホッとひと安心。小児科病棟では医師、看護師、保育士が病室を頻繁に見に来てくれて、息子に声をかけてくれていました。スタッフの方々の手厚いサポートがありがたかったです。

熱は抗生剤を点滴する前に下がっていたようです。予後も良好で、結局4日目には退院することができました。毎日1時間しか会えないのは寂しかったし、帰り際泣かれるのも辛かったです。1日目はテレビに夢中になっている間にしれっと帰ったのですが、次の日にはその作戦は効かず。子供もアホじゃないですからね。

入院中にした検査と結果

入院中にした検査は以下の通りです。

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 腎臓超音波
  • 心臓超音波
  • 扁桃腺超音波

血液検査の結果、入院時に特に異常値を示していたのはCPRと白血球の数。CPRは体内でなんらかの炎症があった際に上昇する数値なのだそうです。発熱があるから数値が上がるのはあり得るが、上昇値があまりにも高く異常だったようです。白血球の数もとんでもなく上昇していましたが、これも発熱があるため数値が上がるのはあるべき姿とのことでした。退院時にはいろんなものがほぼ正常値に戻っていましたが、CPRはまだ正常値には戻っていませんでした。主治医の先生からは、「このタンパク質は一度体内で生成されてしまうと、次の日に0になるということはなく、徐々に尿や汗から排出されます。数字の下がり方は正常なので大丈夫ですよ」と教えてもらいました。

後日リウマチ膠原病の専門医の先生からは、プロカルシトニンの数値が正常値なので、細菌感染ではなさそうだと教えてもらいました。余談ですが、その際あまりにも息子が走り回って元気だったので「退院時の血液検査の結果がまだ正常値じゃなかったから、今日は血液検査しようと思ってたんだけど、こんなに元気なら問題ないや。無理に針を刺す必要はないよ。血液検査、やめておこう」となりました。笑。

入院時の尿検査では血液、たんぱく、ケトン体が混じっていて、これは異常なのだそう。血液やたんぱくは、熱が引けば治ることがあり、ケトン体は熱でしばらくまともに食事が取れていないためだろうとのこと。退院時の尿検査では問題なくなっていました。(後日膠原病の専門医に診てもらった際の尿検査も異常なしでした)

腎臓、心臓、扁桃腺の超音波検査も、それぞれ問題なしとのことでした。原因不明の病気で検索魔になっていた際に、腎臓系の病気で恐ろしい記事をいくつか読んでしまっていたため、腎臓に異常は見られない、とはっきり分かって本当に安心しました。

退院時、主治医の先生から「今までの既往歴や入院中にした検査結果を踏まえ、PFAPAという病気がひとつ考えられます。しかし、PFAPAを特定できる検査はありません。いろんな可能性を除外して、初めて診断できる病気です。現段階ではまだ断定できません。リウマチ膠原病科の専門医の予約を入れたので、そちらでも診てもらってください」と説明を受けました。

退院をした長男は元気いっぱいで走りまわりました。「電車かタクシーどっちに乗りたい?」と聞いたら

長男
長男

電車!

とのこと。自粛生活続きで大好きな電車に乗るのも帰国してから2回目。それはもう大興奮で電車に乗りました。久しぶりに心からの笑顔を見られて、母感動。涙。駅には夫と次男も迎えに来てくれていて、姿が見えた瞬間”Dadaaaaaaaaa!!!”と走って抱きつきに行ってました。その姿に、母感動、再び。いつもならそそくさと歩いて帰る道も、ダダに甘えてずっと抱っこ。「歩く?」と聞いても

長男
長男

でけない。あっぷ(抱っこの意)。

と返す始末。もうしばらくはとことん甘えさせましょう!と我々も覚悟を持って退院の日を迎えたので、多少のわがままもかわいく思えました。

さいごに

世の中がコロナで大変な中、病院のスタッフは最高の対応をしてくださいました。警備員さんも丁寧に案内してくださったし、事務員さんも細やかに対応してくださいました。栄養士さんも息子の食欲や栄養の取り方について分かりやすく教えてくださったし、保育士さんもトイレトレーニングの悩みを快く聞いてくださいました。

それから小児科病棟の看護師さんて天使なの!?子供の扱い方めっちゃ上手ですし、入院中の私の不安などを全部聞いて、ひとつひとつ払拭してくれました。

最後に医師たち。どの先生も説明がとても丁寧で、素人の私に分かるように詳しく説明してくださいました。正直お医者さんたちってもっと偉そうで高圧的なイメージを持っていたのですが(失礼)、「ほかに分からないことはないですか?」「何か不安はないですか?」って、どの先生も聞いてくれるんです。主治医の先生なんて、退院時非番なのにわざわざ様子を見に来てくれたし、後日リウマチ膠原病の先生の診察の前にも、「その後はどうですか?」と様子を聞きにきてくれました。なんて丁寧なの!!病院スタッフの誰とお話しても心優しい対応をいただき、感激しました。大学病院てもっと殺伐としたところだと思っていました。すみません。

事情がうまく飲み込めていない息子が一人ぼっちで入院というのはかわいそうでしたが、スタッフの暖かいサポートのおかげで無事に退院できました。原因不明の病気は不安ですが、今回徹底的に検査をし、一歩前進した気持ちです。

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