2020年秋。とある大学病院にて。
長男さん、PFAPAを強く疑います。まだ断定はできませんが。
とリウマチ膠原病専門の先生から告げられました。
このときピコ太郎のPPAPが頭の中でエンドレスリピートだったのは内緒の話です。チャラチャチャチャチャチャチャ〜PFAPA ずんちゃずんちゃちゃ。
話逸れましたが、私は内心、
やっぱりそうかぁ。でもまだ明確に診断下りへんのや〜。うぅん……。
とモヤモヤする気持ちを抱えていました。だってさ、診断が下りれば、ではこれからどないしましょ?って議論ができるのに、まだ分かりまへん状態ですと、たいがい「経過観察で」ってなってしまうじゃないですか。モヤモヤする〜。
しかし担当の先生がとても親身にお話してくださって、病院を去るときには前向きな気分になれました。PFAPA症候群は、全国的にも世界的にも正確な患者数のデータは取れていない病気のようですが、まぁまぁレアな病気だそうです。
PFAPA症候群
PFAPA症候群とは
PFAPAは、Periodic Fever (周期性発熱), Aphthous Stomatitis (アフタ性口内炎), Pharyngitis (咽頭炎), Adenitis (リンパ節炎)の略で、PFAPA症候群とは、これらの症状を特徴とする「周期性発熱症候群」の一つで、「自己炎症性疾患」の一種です。2歳〜5歳の間に発症することが多く、成長障害はなく、10歳頃までに寛解するケースが多いそうです。
自己炎症性疾患とは「感染していないにもかかわらず自分の体が何かに感染したと勘違いし、炎症を起こすスイッチを勝手に入れてしまい、自分の体を攻撃してしまう病気」なのだそう。この自己炎症性疾患には遺伝性のものが多いのですが、PFAPAに遺伝性はないと言われています。自己炎症性疾患自体、1999年に提唱されたばかりの比較的新しい概念なんですって。
原因
現時点で原因は不明です。何がトリガーになり発症するかは分かりません。ただ遺伝的な因果関係は見つかっておらず、かつ感染もしないとのこと。(私が先生から聞いた話や、自分なりに日本語と英語のサイトで調べた結果、遺伝性は見つかっていないという見解がほとんどでしたが、中には遺伝的要因があると書かれている文献もありました。専門家ではないのであしからず。)
症状
主な症状は以下の通り。
- 比較的規則正しい周期性発熱
- 発熱周期は3~8週ごとが多い
- 発熱期間は3~5日が多い
- 発熱は高熱
- 口内の痛み(アフタ性口内炎)
- 喉の痛み(咽頭炎)
- 扁桃炎を伴うことも多い
- 喉に白い膿(白苔)が付着することもある
- 首(頸部)のリンパの腫れ(リンパ節炎)
発熱がない期間は無症状。成長障害もなく、正常に発育、発達。
発熱といくつかの症状が一緒に出るようで、うちの長男の場合は、毎度熱のたびに口内炎以外全部の症状が出ています。
診断
診断を確定できる検査は今のところありません。診察所見や、血液検査、画像検査などを組み合わせて、類似した症状がある他の病気を全て除外した上で診断されます。例えば溶連菌やアデノウイルスは似たような症状がありますが、普通は繰り返しませんし、検査で病気の特定が可能です。
うちの長男の場合、半年ほど毎月見事に40°近くの高熱を出し、その度にリンパ節炎も咽頭炎もあったのですが、6日続くときもあれば1日で下がるときもあり、またうち1回は溶連菌陽性が出ていたので、まだ”強い疑い”止まりです。
治療
発作予防に
- シメチジン(胃薬)、コルヒチン
- モンテルカスト(アレルギー予防薬)
- ある種の漢方薬
これらの薬を毎日服用。一番よく使われているのがシメチジンで、30%~50%程度の患者に有効、また完全に発作が起こらないわけではなく発熱のピークを下げるイメージなんだそう。漢方薬は苦いから子供が毎日飲むのはキツいかもね〜と先生はおっしゃっていました。
発作時に
- プレドニゾロン(ステロイド)の服用
非常に効果的で、熱を数時間で下げてしまうんですって。ただステロイドなので敬遠する患者さんは多いそう。多量を長期間服用となると、確かに副作用が怖いけど、主治医と相談しながら適切な用法容量を守ればそんなに怖くないですよ、とのこと。また、発熱周期が短くなるっていうデメリットもあるようです。そしてめちゃくちゃ苦く、大人でもひっくり返りそうになる苦さだって先生が脅かしてくるんですわ。
外科的介入として
- 扁桃摘除術
もあります。つまり扁桃腺を手術で取っちゃうってことですね。術後発作が消えたという臨床結果が多数あるそうです。それを聞いたときは
えー。そんなんもう手術一択やん!
と思ったのですが、手術自体全身麻酔、約1週間の入院、自然に治る場合もある病気なのにわざわざ外科手術しちゃうんですかどうですか!?という議論になるそうです。言われてみれば確かにそうれもそうかもなぁ〜と。
“強い疑い”の次のステップ
強い疑い止まりの長男ですが、次回高熱が出た際は、熱2日目でかかりつけ医のところに行き、1回ステロイド処方してもらうことをお勧めします、とのこと。そういってかかりつけ医の先生に渡す報告書?提案書?もいただきました。あくまで長男の場合ですが、もしステロイドを飲んで1発で熱が下がってしまえばPFAPA症候群の可能性がさらに高まる状態だと。逆にステロイドを飲んで熱が下がってもまた薬が切れた頃に熱が上がってきたら、それはPFAPA症候群ではないと診断できるんだそうです。なのでPFAPA症候群の可能性をよりはっきりさせるために、1回ステロイドを試してみる価値はありそうです。
そんな大学病院でのやりとりがあった翌日、アメリカへ飛んだ私たち一家。長男はアメリカ到着翌日に40°近い熱を出し、「はいはい今月もやって参りました〜」という感じだったのですが、今回は1日で熱が下がったため、特に病院には行かず。飛行機に乗って空港を経由しているため、念のためコロナも警戒しつつ過ごしています。ていうかカリフォルニアのコロナ感染者とんでもない数だから、熱続いてても今回は病院見合わせていただろうな、きっと。
とりあえず、PFAPA症候群は生命の危機に関わるような病気ではないし、先生も
病気というより、熱が周期的に出る、そういう「体質」なんだと思ってください。
と、肩の力を抜くようアドバイスしてくださったので、今は割とお気楽に考えています。まだ疑いがあるだけでひょっとしたらこの半年劇的に熱出しやすかっただけかもしれないですしね。
まぁでも集団生活もしていなくて、これだけ自粛だのなんだのっていう生活をしている中で、こんなに熱出しまくるのはやっぱり疑っちゃうよね。
とも先生はおっしゃっていましたがね。あはは。次回はリウマチ膠原病の先生に診てもらうまでの経緯や長男の様子など書いてみようと思います。
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