日本の神社で結婚式をするとはいえ、披露宴の会場は普通の婚礼会場。ゲストは半分日本人、半分アメリカ人。あまりアメリカ文化に精通していないゲストもいれば逆も然り。どこまで日本流でどこまでアメリカ流を取り入れるか、夫婦間でめちゃくちゃ話し合いました。
そもそも披露宴 (wedding reception) は誰のため?
お互いに、結婚式(wedding ceremony)は家族の前で結婚を誓う儀式、と思っていたのですが、披露宴(wedding reception)の認識にはズレがありました。
披露宴は、友人、お世話になった人に結婚を披露するパーティー。上座に座るのは先輩や友人。
いや、披露宴のメインゲストは家族でしょう。上座は親。親への感謝を見せるんだよ。
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
メインゲストってお友達ちゃいますのん!?(一般常識と違っていたらごめんなさい)
確かに、アメリカの結婚式に出席すると、最前列ど真ん中に家族がどーんです。一方日本の結婚式は、家族は末席。人によっては親の名前で招待状を出す場合もあるぐらいですよね。そう、アメリカ流では親が1番のゲストという考え方で上座に座り、日本流では親は招待側という考え方で下座に座るのです。さてこの認識の差異、どうしたものか。とにかくお互いが納得する解を見つけるまでとことん話し合うのでした。
日本流にした事柄5つ
1. 席次
夫が「今まで育ててもらったことへの感謝の気持ちや、親元を巣立っていく成長っぷりを見てもらうんだから、絶対親が上座だよ。下座なんて考えられない。親がメインでしょう!!」と熱く語ってきたので、ぶっちゃけ席順なんて気にする人いないでしょう、と思っていた私は「んな親兄弟主賓席にしましょか」となりました。日本サイドのゲストは「あれ?」と思うかもしれないけど、まぁ国際結婚やし大目に見てもらえるかな、なんてゆるっと考えておりまして。
ところが私の母(古風な考え方のゴリゴリの日本人)にそれを伝えたところ、「私たち親が主賓席!?ありえません、そんなの恥ずかしくて披露宴に出席できません!よく考えなさい!」と一蹴されてしまいました。オーマイガーッ。
夫の熱意と実母の圧の板挟みになった私は、助けを求めに義理の母へ相談。事情を伝えたところ「日本で、しかも神社でThe Japanな式を挙げるのだから、席順も日本流にすべきでしょう。Nobitaには私から説明しますよ」とのこと。お義母様ありがとうございます(涙)。
義母からの説明を聞き、夫はまぁそれもそうか、とあっさり納得してくれました。しかし、どうにかして親への感謝を示したいという意思は変わらず、親の飛行機代を出す、ということで決着しました。
一方私の親は、私側親族全員分のお車代とホテル代を負担してくれました。義両親の飛行機代を私たちが出したなんて言えない、というのはここだけのお話です。披露宴は誰のため、という価値観が違うので仕方がないと思っています。
2. お色直し
白無垢で結婚する、というのが夢だった私は、そのほかの衣装に無頓着でした。さすがに披露宴の間もずっと白無垢はしんどいかなと思い(実際に布団を背負ってるみたいで肩が爆発しそうに重たいんです!)、披露宴はドレスにするつもりでしたが、ウェディングプランナーさんと相談した結果、お色直しとして色打ち掛けを着たあとに、ウェディングドレスを着ました。
最初、お色直しは考えていませんでした。前にアメリカの友人に「なんで日本の結婚式って着せ替え人形みたいにいくつも衣装を着るの?」と聞かれたことがあり、そう言われてみればそうやなぁ、別に当日衣装変える必要ないよなぁと思い、披露宴はウェディングドレス一本にしようと思ったのです。アメリカの結婚式はだいたいウェディングドレス1つしか着ないですしね。(もちろん移民の国ですし、先祖のルーツの民族衣装に着替える人たちもいますよ。)そして、色打ち掛けやカラードレスは別撮りにしようとしていました。
結果的にお色直しで色打ち掛けを着ることにしたのですが、理由はウェディングプランナーさんから、私たちの進行プログラムだと「場を持たせるためにあった方がいい」と勧められたのと、実母の「色打ち掛け姿を見たい」という希望を叶えようと思ったからです。アメリカからのゲストは、普段きっと見ることはないであろうゴージャスな日本伝統の色打ち掛けを大変気に入ってくれました。ゲストと一緒に過ごす時間は多少減ってしまいましたが、やってよかったと思っています。
3. 両親への手紙
アメリカの結婚式ですと親が子供に言葉を送ることがありますが、日本は花嫁が両親に言葉を送りますよね。両親への手紙は私が絶対にやりたかったし、家族を大事にする夫も「素敵じゃん、やろうやろう」と大賛成してくれたのでプログラムに入れました。
いちいち通訳を挟みながらだと言いたいことが伝わりにくいし、かといって日本語だけで進めると日本語が分からないゲストがぽっかーんとなっていまうなぁと思い、日本語で手紙を読んで、英訳をスクリーンに写すことにしました。
手紙の内容を英訳する際、夫にも確認してもらったところ、夫の目に涙。我ながらいい手紙が書けたんやなと、ニヤリとしたものです。
4. 主賓(会社のゲスト)の挨拶
これは最後まで悩みましたが、形式上あった方がいいという先人の勧めがありプログラムに入れました。そもそも仕事仲間を結婚式にご招待するの?というところから夫とは意見が食い違っていたのですが、私は仕事という枠を超えてプライベートでも仲良くさせていただいている上司や同僚をどうしてもお招きしたかったのです。アメリカでは会社の仲間とプライベートでも仲良くなること自体めずらしいので(もちろん仲良くなる場合もありますよ)、結婚式に会社関係者がいるというのはあまり見られる光景ではありません。アメリカの友人からは「え?会社の人呼ぶの?」と驚かれたものです。会社の方をお招きするのであれば、やはりそれなりに形式的にした方がよいのでは?というアドバイスを先輩花嫁からいただき、そうれもそうだなと思い、スピーチをお願いしました。
今振り返ってみれば、ぶっちゃけなくてもよかったかな、というのが本音です。(せっかくご挨拶していただいたのにとんでもなく失礼な発言申し訳ございません!)理由は、全て通訳を挟んだのでめちゃくちゃ間延びしてしまったからです。飲み物も食べ物も運ばれてこない中、30分超えのスピーチというのは、いくら心温まる素敵な内容でもスピーチをしていただいた方、通訳をしていただいた方、ゲスト、全ての方に酷だったかなと思います。
もしスピーチを入れるなら、思い切って通訳なしでもいいかもしれません。通訳を入れたからといって日本語でウケる内容が英語でウケるとも限らないですし、事前に原稿を見せて下さい、と言えるわけでもないですし。もしくは多少時間がかかってしまうのを考慮し、先に飲み物だけはゲストにお通ししてしまうのもありかと思います。
5. ゲストは招待状を送った方のみ(Invited only)
アメリカでは「プラスワン」と言って、結婚式に招待された人はパートナー(伴侶や恋人)を同伴して出席します。私も夫の友人の結婚式にプラスワンで出席したことがありますし、結婚式に限らず、パーティーに招かれた際に同伴することがあります。
一応、アメリカではプラスワンはマナーなのだそう。でも日本で式を挙げるし、正直、自分たちのことを知ってくれている人だけに囲まれたかったので、日本流でいきました。アメリカの友人には「妻(夫)を連れてっていってもいいか」と聞かれる場合もありましたが、「日本で日本流の式をするため、申し訳ないのですが、invited only(ご招待した方のみ)でお願いします」と丁重にお断りしました。
後日談ですが、夫の友人の妻(夫も知人レベルだったが披露宴に招待するほどの仲ではない)が「なんで私は招待されないの?」とお怒りだったそうです。聞いたときは少し傷つきましたが、「いや、私の結婚式やし。私の勝手にして何が悪いねん」と開き直りました。
また、夫婦でご招待したゲストから、「子供を連れていってもいいか」と聞かれました。こちらも「本当に申し訳ないのですが、invited onlyにさせてもらっています」とお断りしました。式場の近くで子供を預かってくれるシッターさんを手配する旨を伝えましたが、結果的にはご親族に預けて出席してくださいました。
ゲストになるべく負担がかからないようにと気を遣っていたつもりでしたが、今書きながら振り返ると、本当にみなさんのご協力の元にできた結婚式だったのだなと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
長くなってしまったので、アメリカ流にした事柄、どちらも取り入れなかった事柄は次の記事で書きます。
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